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Posted by だてBLOG運営事務局 at

2013年03月07日

モバイルOS 新勢力登場の背景

 iOSとAndroidが席巻するスマートフォン向けOS。しかし、このところ、KDDIが「FirefoxOS」、NTTドコモが「Tizen」を採用したデバイスの投入計画を公表するなど、新しいモバイルOSを採用する動きが出始めている。その背景にはどのような要因があるのだろうか。

【詳細画像または表】

なぜ今、新しいモバイルOSが注目されているのか

 現在のスマートフォン市場は、iPhoneもしくはAndroidを採用した機種が席巻していることは、多くの人がご存じのことだろう。だが、この勢力図を大きく塗り替える可能性を秘めた発表が先月末に行われた。

 2013年2月25日から28日までスペインで開催されていたモバイル関連機器の世界最大級のイベント「MobileWorldCongress2013」で、モバイル機器向けの新OSが相次いで発表され、大きな注目を集めたのだ。KDDIが「FirefoxOS」、NTTドコモが「Tizen」という新OSの採用を発表。新OSを搭載した端末が国内向けに投入される気運が高まっていることも、注目の度合いを高めている。

 しかし、現在のスマートフォン向けプラットフォームは、iPhoneが採用する「iOS」と、それ以外の多くのスマートフォンが採用する「Android」の2つが圧倒的なシェアを占めており、“アプリ”を中心とした利用スタイルも確立されてきている。そうした状況下で、わざわざ新OSが登場する理由が分からないという人も、多いのではないだろうか。

 では一体このタイミングでなぜ、スマートフォンやタブレットに向けた新OSが登場したのか。また、キャリアやメーカーの支持を集めている理由は何か。発表されている内容からその要因を探ってみよう。

「FirefoxOS」と「Tizen」とはそもそも何か?

 まずは、新OSとして注目を集める「FirefoxOS」と「Tizen」について説明しておきたい。

 FirefoxOSは、その名前の通り、Webブラウザ「Firefox」を提供しているMozillaFoundationが開発したモバイル機器向けOSで、全てのアプリケーションを、Webサイトの制作に用いられる“HTML5”などの技術で作成できるのが大きな特徴だ。アプリケーション開発の技術的なハードルが低い。全てのアプリケーションがWebブラウザー上で動作するような仕組みなので、ハードウエアの仕組みもシンプルにでき、端末をローコストで開発できる。このため、新興国向けのスマートフォンOSとしても注目されている。

 FirefoxOSは、日本ではKDDIが製品化への取り組みを表明しているほか、ソフトバンクが買収を目指している米スプリント・ネクステルや、ドイツテレコム、テレフォニカ(スペイン)、シンガポールテレコムなど世界各国のキャリアも支援を表明。また端末メーカーとしては、韓国のLG電子のほか、HUAWEIやZTE、“アルカテル”のブランドで携帯電話を販売しているTCLなど、低価格製品に強い中国メーカーがパートナー企業に名乗りをあげている。またソニーモバイルも、テレフォニカとFirefoxOSを採用した端末の共同開発をすると発表している。

 一方のTizenは、米インテルが主導してきた「MeeGo」と、携帯電話メーカーやキャリアが主導し、NTTドコモのフィーチャーフォンにも採用されてきた「LiMo」という2つのモバイル向けプラットフォームを統合したOSだ。現在はインテルとサムスンを中心に、キャリアやメーカーなど多くの事業者が開発に参加。LiMoの流れをくんでいることもあり、NTTドコモやNECカシオ、パナソニックなど日本企業も複数参加している。

 TizenもFirefoxOS同様、HTML5ベースでアプリケーションを開発するのが特徴だ。だが一方で、Tizenは本体の性能を引き出しやすい、ネイティブアプリの開発も可能とするなど、より柔軟性が高いのが特徴といえるだろう。

なぜ、新しいOSを採用する動きが高まっているのか

 FirefoxOSとTizenは、共にアプリがHTML5を主体としたWeb技術で開発でき、作成したアプリを異なる環境にも展開しやすい点で共通しているが、他にも共通した特徴がある。それは“オープン性”だ。

 FirefoxOSは、そもそも非営利組織のMozillaFoundationが主導しているプロダクトであるし、Tizenもインテルとサムスンが主導しているものの、それ以外の企業も多く関わっているため、オープンな姿勢をとっている。それゆえ、例えばキャリアやメーカーが端末に独自のサービスを導入したいと思った場合でも、iOSのようにプラットフォーム側の制約を強く受けることなく、自由にできるのだ。

 端末への搭載がオープンであるという点は、Androidも同じだ。だがAndroidは、当初こそオープンな姿勢が強かったものの、シェアを伸ばすに従って、開発の中心的な役割を果たしているグーグルの影響力が強くなっている。その結果、提供するアプリケーション、端末などさまざまな面において、独自性が出しにくくなってきている。

 つまり、プラットフォームを掌握する特定企業の影響力が大きくなることで、ビジネスの根幹にかかわる部分を握られてしまうことに対するキャリアやメーカーの懸念が、新OSの台頭に結び付いているといえそうだ。

オープンだけに品質面の確保が課題に

 とはいえ、FirefoxOSやTizenはスマートフォン向けOSとしては後発ということもあり、iOSやAndroidの対抗馬として成長するには多くの課題があるのも事実だ。

 中でも最も大きな課題は、ハードウエアとソフトウエアの品質だろう。双方共に、ハードウエア開発や、HTML5の採用によるアプリケーション開発の敷居は高くないと見られる。だが、オープン性に伴う自由度が高いだけに、Androidで問題となっている端末のサイズ・性能や、アプリ品質のばらつきなどが生まれやすい。それがユーザーの使い勝手に悪影響を与えれば支持は得られないし、提供するハードウエアやプラットフォームの分散化を嫌うアプリのデベロッパーからの支持も獲得しにくくなる。

 こうした懸念は、iPhoneに代表されるように、強力なプラットフォーム事業者による垂直統合のコントロール下では起きにくいものだ。新OSはオープン性を重視するだけに、オープン性を維持しながら品質をどう確保するかが大きな課題となってくるだろう。特に日本では、端末・サービスなどあらゆる面で品質が重視されることから、キャリアやメーカーには、この点をいかにクリアするかが求められる。

 ちなみにTizenを搭載した端末は、今年の後半にNTTドコモから提供が予定されているようだ。FirefoxOSを搭載した端末の日本投入はまだ先になりそうだが、海外では新興国を中心に、低価格のFirefoxOS搭載端末が近く登場する予定という。新OSを搭載した端末の提供が本格化する今年後半から来年にかけて、市場にどのような影響をもたらすのか、注目したい。  


Posted by ビッグバン at 08:38Comments(0)